施設と神使について

神社の施設

鳥居

鳥居は「ここからが神社の神域ですよ」と示す門の一種です。注連縄が張ってあるのは俗界と聖域の境界(結界)であることを表しています。

参道

社殿へと続く参詣道。中央は神様がお通りになる道ですので,端を歩きましょう。

手水舎

「ちょうずや」,「てみずや」,「てみずしゃ」と呼びます。境内の最奥にある拝殿や本殿に進む前に参拝者が手を洗い,口をすすいで身を清めるための流水施設です。

灯籠

境内や参道に設けられた明かりで神事・祭りなどで神様がお出ましする際の目印の意味もあります。

狛犬

狛犬は神様の神殿を警護する霊獣です。本来「獅子狛犬」と呼ばれ,角がある狛犬(阿形=右)と角がない獅子(吽形=左)という阿吽一対が伝統の形式です。

拝殿

拝殿は古くは礼殿とも呼ばれ,ふだん一般の参拝者が拝礼するための施設です。拝殿の奥には中間に幣殿を挟んで本殿があります。注連縄が張られ,鈴や賽銭箱があります。

幣殿

幣殿は参拝者が幣帠を捧げる施設です。拝殿と本殿の中間にあります。

本殿

本殿は祭神を祀る社殿のことで,神社の境内にある施設の中でもっとも中核的な施設です。祭神を祀る儀式は本殿の内部またはその前で行われます。

玉垣

社殿を囲う垣根・柵で日常空間と神域を区別する役割があります。斉垣(いがき),端垣(みずがき),神垣ともいいます。

神木

神霊が宿るといわれる松,杉,樟,銀杏などの木です。中には樹齢数百年の巨木・古木があります。

摂社

摂社は本社祭神の荒魂や縁故の深い神,あるいはその土地に祀られてきた地主神を祀り,本社に準じる格式があるとされます。

末社

末社は枝宮,枝社とも呼ばれ,本社に付属する摂社に順ずる格式の小さな社のことで,主祭神と関係のない神霊が祀られています。

神使の種類

日本では古くから動物がある特定の神と結びつけられ,神聖な霊獣として重視されてきました。そうした動物(霊獣)は神様の眷属(従者)とされてお使いの役目を果たすと考えられたことから「神使」(しんし)と呼ばれています。

鼠×大国主命(大黒天)

大国主神は神話で鼠に危機を救われたことから神使が十二支のひとつ「子」をされています。ちなみに同神とされる仏教の大黒天の神使は白鼠です。

牛×天神

天神様の菅原道真は丑年生まれ,死去した日が丑の日,遺体を乗せた牛車を引く牛が立ち止まった地に埋葬された伝承などから神使とされました。

兎×住吉神

住吉大社の祭神(神功皇后)が祀られた日が兎の年,卯月,兎の日だったことから兎が神使とされています。境内には招福の「翡翠の撫で兎(神兎)」があります。

鹿×春日神

天照大御神が命令を伝えるために建御雷神(鹿島神)のところに派遣したのが鹿の神の化身「天迦久神」だったと国譲り神話には書かれています。

鳩×八幡神

八幡信仰の総本社・宇佐神宮の八幡神出現伝承では「欽明天皇の御代に境内の神池に鍛冶の翁(八幡神の化身)が現れ,金色の鳩に変身した」とあります。

蛇×弁財天

蛇は古くから水神と結びついて稲作守護の霊獣として崇められ,仏教の弁才天(河の神)と市寸島比売命が合体した福神・弁財天の化身とされました。

狐×稲荷神

狐は古くから山の神の化身とされ稲作を守護する霊獣として崇められました。そこから穀霊の宇迦之御魂(稲荷神)と結びついたと考えられています。

鳥×熊野神

鳥は山の神や祖霊のお使いとして古くから神意を伝える「ミサキ」と呼ばれました。また鳥は太陽神のお使いでその代表的な存在が三本足の八咫烏です。

猿×日吉神

猿は古くから山の神と太陽神と関係の深い霊獣(猿神)として崇められ,日吉大社では比叡山に棲む猿が山王さまの神使とされるようになりました。

猪×日本武尊

秩父の三峯神社では,山の神の化身の狼が山中で迷った日本武尊の道案内をして助けたという伝承から御眷属様(大口真神)と呼ばれています。