神社の種類について

神社の社号について

社号とは神社の称号を指し,熱田神宮なら「熱田」は「社名」,「神宮」は「社号」です。社号には大神宮・神宮・宮・大社・神社・社などがあります。

神宮

天皇や皇室祖先神を祀る規模の大きな神社です。主な神社には熱田神宮,石上神宮,鹿島神宮,香取神宮,明治神宮,鵜戸神宮,橿原神宮などがあります。

親王など皇室関連人物を祀る神社に多く使用されます。主には香椎宮,北野天満宮,城南宮,聖母宮などがあります。

大社

戦前は出雲大社のみを指していましたが,戦後に社号を変更した神社が多いです。主には出雲大社,春日大社,熊野本宮大社,多賀大社,日吉大社,松尾大社などがあります。

大きな神社から祭神を勧請した比較的小規模な神社があたります。主には祇園社,稲荷社,神明社,天神社,八幡社などがあります。

神社の種類について

福岡県内で最も多いのは六百社を超える天神信仰関係の社(天満宮)です。以下,福岡県神社庁に属する法人格を持った神社を多い順に紹介します。

天満宮

御祭神は学問・文化の神様「菅原道真」です。旧筑前・筑後に多く,筑後では八幡宮の4・5倍もの社があります。八幡宮に次ぐ荘園領主であった安楽寺天満宮の荘園が筑前・筑後に多く存在したことと関係しているかもしれません。

八幡宮

全国では断然トップの八幡宮は福岡県では2位で大分県の宇佐神宮を起源とします。八幡神は最も早く,最も深く仏教と結びついた神とされ,御祭神は八幡すなわち応神天皇とその母・神功皇后,姫神の三神とする社が多く存在します。

貴船社

県下3位は全国19位の貴船社で約百五十五社。京都市の北,貴船川の上流,鞍馬貴船町に本社があり,福岡県下では特に豊前地方に多く,八幡宮とほぼ同数の社が祀られています。豊前は水持ちの悪い中小河川が多いため,順調な降雨が渇望されたのかもしれません。

熊野社

山岳信仰,修験道系の神は自然崇拝をもとに神道・仏教・道教などが習合した神で,熊野権現,彦山権現,求菩提権現など,多く「権現」と称しており,熊野社は百二十社を超え,福岡平野周辺緑の山々,筑後では矢部川流域に多く鎮座しています。

大山祇神社

オオヤマツミは「大いなる山の神霊」という意味で,山々の精霊を総括支配する神をいい,福岡県では山つきの集落などに多く祀られます。全国では13位ですが,福岡県下では大山祇神社が約百社,筑後には二十社の三島神社が鎮座しています。

日吉社

比叡山延暦寺の地主神であり鎮守神の大山咋神を祀ります。古くは日枝と表記し,神仏習合時代は日吉山王権現と言われたため,山王社と称する神社もあります。県下には百十社を超える日吉社があり,筑前・筑後に多いのは天台寺院の勢力が大きかったことを物語っています。

綿津見神社

ワタは海,ツは接続語,ミは神霊の意味で本拠は志賀島ですが,むしろ筑後の有明海沿岸地方に多くのワタツミ神社が存在します。柳川を中心とする地域には「少童命」(わたつみのみこと)を御祭神とする海童神社が多いことで注目されます。

高良社

高良大社・玉垂宮の縁起物が神功皇后の朝鮮出兵の物語であり,玉垂命が安曇磯良とともに活躍することもこの地域への阿曇族の流入を物語ります。高良社は久留米市の高良山の神であり,県下には約五十五社ありますが,筑前は一社のみであとはすべて筑後です。

水天宮

水天宮は久留米市の筑後川河畔に総本社があります。高良山同様,県下では筑後地方に限られていますが,1818年(文政元年),久留米藩主・有馬頼徳が江戸三田の藩邸に分祀した社が安産,水難除けなどで庶民に信仰されるようになり,全国に広がりました。

稲荷社・恵比須社

福岡県下では各五十社前後で,お稲荷さんは町の片隅や路地の奥など,また屋敷神として商家の庭などに祀られています。恵比須さんは船に乗せられて海に流された蛭子を恵比須神とする説,鯛釣る翁・事代主命とする説があります。

厳島神社

平清盛で名高い安芸の宮島・厳島神社には宗像三女神が祀られていますが,福岡県下にも宗像大社より遥かに多数の厳島神社が存在します。ただ,明治以降に弁財天社が厳島神社,竹生島神社となったものもあり,安芸の厳島神社の分社ばかりとは言い切れません。